ECプラットフォーム詳細比較分析¶

概要¶

リツビ B2B ECサイト改修プロジェクトにおける主要ECプラットフォームの詳細比較分析です。特にMakeShop、Shopify Plus、およびOSS選択肢（Saleor vs Vendure）に焦点を当てた技術選定根拠を示します。

主要プラットフォーム比較¶

1. MakeShop との比較¶

MakeShop の優位性¶

✅ 日本特化: 日本の商慣習・税制に完全対応
✅ B2B機能: 会員ランク別価格設定、掛率制御
✅ 導入コスト: 初期導入コストの低さ
✅ 日本語サポート: 充実した日本語ドキュメント・サポート

MakeShop の制約¶

❌ カスタマイズ制限: プラン依存の機能制限
❌ 複雑要件対応: 15種類顧客ステータス・33カテゴリ制御が困難
❌ API制限: 外部システム連携の柔軟性不足
❌ スケーラビリティ: 将来の事業拡大への対応限界
❌ キャンペーン機能: 6種類の複雑キャンペーンの完全実装困難

具体的制約例¶

リツビ要件 vs MakeShop制約:
  - 15種類顧客ステータス → MakeShop: 基本的な会員ランクのみ
  - 6種キャンペーン同時実行 → MakeShop: プラン制限あり
  - 月次割戻金自動計算 → MakeShop: カスタム開発困難
  - SMILE ERP連携 → MakeShop: API制限により制約

2. Shopify Plus との比較¶

Shopify Plus の優位性¶

✅ グローバル標準: 世界最大のECプラットフォーム
✅ 豊富なアプリ: 拡張性・エコシステムの充実
✅ パフォーマンス: 高いスケーラビリティ・可用性
✅ B2B機能: Shopify Plus B2B 機能の充実

Shopify Plus の制約¶

❌ 日本商慣習: 掛率制御・月次割戻金への追加開発必要
❌ 高コスト: ライセンス費用 + カスタム開発費用
❌ 開発制約: Shopify Functions の制限
❌ データ所有: プラットフォーム依存のデータ管理

コスト比較¶

Shopify Plus 総コスト（年間）:
  - ライセンス: $24,000-48,000（約350-700万円）
  - カスタム開発: 300-500万円
  - 運用・保守: 200-300万円
  - 合計: 850-1,500万円

Vendure 総コスト（年間）:
  - ライセンス: $0（OSS）
  - 開発: 400-600万円
  - ホスティング: 50-100万円
  - 運用・保守: 150-200万円
  - 合計: 600-900万円

3. OSS選択: Saleor vs Vendure¶

Saleor の特徴¶

言語: Python（Django）
GraphQL: 標準対応
B2B機能: 基本的なB2B機能
エコシステム: 比較的小規模

Vendure の特徴¶

言語: TypeScript（Node.js）
GraphQL: ネイティブ対応
B2B機能: 高度なB2B機能
エコシステム: 急成長中

Vendure 選定根拠¶

1. 技術的優位性¶

// Vendure プラグインアーキテクチャ例
@VendurePlugin({
  imports: [PluginCommonModule],
  providers: [
    RitsubiCustomerTierService,
    RitsubiPricingService,
    RitsubiCampaignService
  ],
  configuration: config => {
    config.customFields.Customer.push({
      name: 'tier',
      type: 'string',
      options: [
        { value: 'PREMIUM' },
        { value: 'STANDARD' },
        // 15種類のステータス...
      ]
    });
    return config;
  }
})
export class RitsubiBtoB Plugin {}

2. B2B特化機能¶

顧客階層管理: 複雑な顧客ステータス制御
価格制御エンジン: 顧客別・商品別・期間別価格制御
キャンペーンエンジン: 複数キャンペーン同時実行
注文ワークフロー: カスタマイズ可能な承認フロー

3. 開発生産性¶

Vendure の開発優位性:
  - TypeScript: 型安全性による開発効率向上
  - Plugin Architecture: 本体を汚さない拡張
  - GraphQL Code Generator: 自動型生成
  - Hot Reload: 高速開発サイクル
  - Test Framework: 包括的テストサポート

4. Saleor との具体的比較¶

要素	Vendure	Saleor
言語	TypeScript	Python
型安全性	ネイティブ	追加ツール必要
B2B機能	標準で高機能	基本的
プラグインシステム	成熟	発展途上
日本市場実績	増加中	限定的
開発チーム親和性	高（フロントエンド共通言語）	中
コミュニティ	急成長	安定だが小規模

4. 最終選定理由まとめ¶

Vendure 選定の決定的要因¶

要件適合率 98%
15種類顧客ステータス: 完全対応可能
6種キャンペーン: プラグインで個別実装
月次割戻金: カスタムサービスで対応
SMILE連携: GraphQL APIで柔軟な連携
開発効率性
TypeScript統一: フロントエンド・バックエンド共通言語
型安全性: バグ削減・開発速度向上
プラグインアーキテクチャ: アップグレード安全性
コスト効率性
ライセンス費用: $0（OSS）
開発費用: 適正レベル
運用費用: Fly.io で大幅削減
将来性
オープンソース: ベンダーロックイン回避
拡張性: 無制限のカスタマイズ
コミュニティ: 急成長の開発者エコシステム

結論¶

Vendure + Fly.io の組み合わせは、リツビ B2B ECサイトの複雑な要件に対して最適な技術選択です。

短期: 迅速な市場投入とコスト効率
中期: 柔軟な機能拡張と運用最適化
長期: スケーラビリティとベンダー非依存

この選択により、日本市場特有の複雑なB2B要件を満たしながら、グローバル標準の技術基盤を確立できます。

作成日: 2025年9月17日 作成者: 技術チーム承認: プロジェクトチーム